マンションの自家発電の設置義務は?メリットや費用相場も解説
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近年、災害が頻発していることから、エネルギーの自給自足に対する関心が高まっています。
マンションのような集合住宅では、住民の安全や生活を維持させるために、自家発電システムの導入が増えています。
マンションに自家発電を導入することで、コスト面や環境面に多くのメリットが生まれるため、エネルギーの自給自足のための選択肢の一つと言えるでしょう。
この記事では、マンションの自家発電の設置義務やメリットなどを詳しくご紹介します。
マンションの自家発電とは
マンションの自家発電とは、マンションに発電装置を設置して電気を供給するシステムです。
電力を電力会社から購入して使用することが一般的ですが、自家発電装置を設置することで購入せずに電気を利用できます。
太陽光パネルや風力電発、ガスコージェネレーションなど、再生可能エネルギー設備を利用します。
自家発電には、「常用自家発電設備」と「非常用自家発電設備」に分けられます。
常用自家発電設備:日常的な電力供給が目的
マンションの電気代の削減やエネルギーの自給自足のために導入されることが一般的です。
自家発電をして可能な限り電力供給を行います。
これにより、外部から購入する電力量を減らすことで、コスト削減や環境負荷の軽減が期待できます。
発電した余剰電力を売電することで経済的なメリットを得られることも。
非常用自家発電設備:災害時や停電時などの緊急時のみで使用
常用自家発電設備と違い、緊急時のみ使用する設備です。
停電時でも、エレベーターや照明、給水ポンプなど、マンションの共用設備に必要な最低限の電力を確保するために使用されます。
災害リスクが高い地域では、このような設備がマンションの付加価値を高めることもあります。
マンションの自家発電機設置義務について
マンションの自家発電設置は、消防法と建築基準法のそれぞれで定められています。
ここでは、2つの法律の設置基準を解説します。
消防法による定め
消防法では、用途や規模に応じて自家発電設備を設置するよう定められています。
特に、延べ面積が1,000㎡以上の特定防火対象物においては、自家発電設備に加えて蓄電池設備や燃料電池設備の設置が義務づけられています。
設置対象の建物はマンションをはじめ、病院や学校、工場、高齢者施設、ホテルなどが挙げられます。
建築基準法による定め
建築基準法では、以下に当てはまる場合に自家発電設備を設置するよう定められています。
- 高さが31mを超える建築物
- 不特定多数の人が出入りする特殊建築物
- 延べ面積が1,000㎡を超える建築物
消防法と同様に、マンションや病院、学校などの大きな施設が当てはまります。
マンションに自家発電装置を設置するメリット
マンションに自家発電装置を設置することで、コスト面や環境面などさまざまなメリットが生まれます。
ここは、3つのメリットをご紹介します。
電気代の削減につながる
マンションに自家発電装置を設置することで、電気代の削減が期待できます。
共用部分や各部屋で使う電力を自らで賄うため、設置しない場合と比べて電気代が抑えられるでしょう。
太陽光パネルや小型の風力発電機など、再生可能なエネルギーを利用する装置を導入することで、電力会社から購入する電力に依存する必要がなくなります。
また、余った電力があれば売電ができるため、さらに経済的なメリットが期待できます。
昨今の電気代の上昇に備える一環としても有効と言えるでしょう。
電源の確保ができる
自家発電装置を設置することで、停電時の電力確保が可能です。
災害時などで停電が発生した場合でも、マンションの共用設備や各部屋に対して電力供給を行うことができるため、住民に安心感を与えられます。
エレベーターや照明、給水設備などのインフラが整備できれば、避難場所としての機能も持たせられるため、災害時の周辺住民のリスクも抑えられるでしょう。
環境活動のアピールができる
マンションに自家発電装置を導入することで、環境に配慮した物件であることがアピールできます。
近年の環境意識の高まりによって、環境に配慮した物件を探している方も多くいます。
そのため、自家発電装置の導入はマンションの価値を上げることにもつながる大きな機会です。
【補助金】マンションの自家発電装置の設置費用を抑える方法
マンションの自家発電装置の設置費用は決して安いものではありません。
導入を検討していてもすぐに導入することを決定するのは難しいでしょう。
その場合には、マンションの自家発電装置を設置した際に利用できる補助金を利用することがおすすめです。
特に非常用自家発電設備に対する補助金が充実しているため、緊急時の対策を考えているマンションオーナーの方に非常におすすめと言えます。
ここでは、実際に募集が行われている(または行われていた)補助制度をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
新宿区省エネルギー及び創エネルギー機器等補助制度
新宿区では、太陽光発電や共用部のLED照明などを対象とした補助制度を行っています。
【補助対象】
区内に集合住宅を所有し、当該住宅に補助対象機器等を設置した以下の方
・中小企業者等
・管理組合等
【補助内容】
・太陽光発電システム
1kWあたり10万円(上限30万円)
参考:令和6年度 新宿区省エネルギー及び創エネルギー機器等補助制度のご案内(個人住宅・集合住宅・事業所):新宿区
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
【補助対象】
・ソーラーカーポートの導入
・営農地、ため池、廃棄物処理場を活用した太陽光発電の導入
・窓や壁と一体型の太陽光発電の導入
・遠隔地から自営線で電力調達を行う取り組み
・再エネ熱、太陽光以外の再エネ発電、未利用熱を活用する計画策定や設備導入
・熱分野のCO2ゼロに向けたモデル、寒冷地での脱炭素化モデルに関する取り組み
・(委託)新たな再エネ導入手法に関する調査検討
【補助内容】
・補助率:1/3、1/2、3/5のいずれか
計画策定:3/4(上限1,000万円)
参考:熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業「計画策定事業」「設備等導入事業」公募のお知らせ | 公募情報 | 一般社団法人 環境技術普及促進協会
マンションの自家発電でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、マンションの自家発電について詳しくご紹介しました。
マンションに自家発電を設置することで、電気代の削減や環境負荷の軽減などのさまざまなメリットが生まれます。
また、このような取り組みをしているマンションとしてセールスポイントにもなるでしょう。費用については補助金を上手く利用して、導入を検討してみてください。
もし現在、マンションの自家発電についてお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください。
はじめての導入や維持など、あらゆることについてのアドバイスをさせていただきます。
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