【BCP対策の例】策定する注意点・テンプレートをご紹介
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BCPは事業継続計画といい、災害などの緊急事態の際に業務を迅速に復旧させ、経済的損失を最小限に抑えることを目的とした対策です。
現代では自然災害に加えてパンデミックなどの予期せぬリスクが増加しているため、BCP対策は避けて通れない課題と言えます。
この記事ではBCP対策の業種別の例や注意点などをご紹介します。
BCP対策を行っている企業の割合
令和5年のデータによると、BCP対策を行っている企業の割合は以下の結果になりました。
・大企業:76.4%
・中堅企業:45.5%
大企業は8割に近い企業がBCP対策を行っていますが、中堅企業は過半数がBCP対策を行っていないことが気になります。
この差は、BCP対策への意識やリソースの違いが大きく影響していると考えられます。
中堅企業では、災害や緊急事態のリスクについて十分に理解していても、BCP対策をするためのリソースがないという課題を抱えていることが一因です。
BCP対策は努力義務であり、法律や規則による強制力がありません。
そのため、リソースがない企業はBCP対策の策定が後回しになることも。また、BCP対策の策定のためにはある程度のノウハウが必要となります。
BCP対策には時間とノウハウの確保が必要になるため、余裕を持って対策に取り組むことができないという課題があるでしょう。
次の章で、業種別の例をご紹介します。
すぐに自社に取り入れられる取り組み例が見つかるかもしれません。ぜひできることから始めてみてください。
【BCP対策】業種別の例
BCP対策は緊急事態が発生しても迅速に回復させたり、事業を継続させたりするために策定する対策です。
そのため、業種や企業、地域によって内容が異なります。
自社の事業を守るために、現在の自社の状況に合わせた対策を検討しましょう。ここでは、業種別の例についてご紹介します。
製造業の例
製造業では、設備の被害や生産ラインの停止を最小限・短期間に抑えたいものです。
製造業は、製造ラインにロボットを導入していることが多く、ロボットの動きがストップしてしまうと事業そのものに大きな影響を与え、その結果、サプライチェーン全体に影響が及ぶことも。
製造業ではこのようなリスクを軽減するための対策を行う必要があります。
・生産拠点を複数箇所に分散する
拠点を増やすことで一つの製造ラインがストップしても業務の継続が可能
・原材料の在庫管理
長期間事業がストップしても安全に保管できるように管理する
・稼働停止時の対応手順の決定
工場の稼働が停止した場合でも何から復旧させるかの優先順位をつけることで迅速な復旧が可能
小売業の例
小売業では、店舗を守るための対策や営業を継続させるための物流の確保が必要になります。
店舗は消費者と直接接する場所です。そのため、災害時の混乱が起きると消費者への供給が滞り、売り上げに直接影響します。
・代替営業場所の確保
緊急事態の被害で一部の店舗が営業ができなくなっても代替営業場所の確保によって事業をストップさせる必要がなくなる
・オンラインの整備
実店舗が営業できなくなっても事業を継続できる
・保管場所の分散
複数の保管場所を持つことで、在庫の被害を減らすことができる
建設業の例
建設業では、現場作業員の安全確保やプロジェクトの遅延を最小限に抑えることが重要です。自然災害によって建設現場が被害を受けた場合、プロジェクト全体に影響が及ぶ可能性があります。
・避難経路の確保
緊急時の避難経路を明確にすることでスムーズな避難が可能になる
・緊急連絡先の作成
非常時でも迅速な情報共有が可能になる
ITサービス業の例
ITサービス業では、システムがダウンする時間を最小限にして、データの保護と復旧を迅速に行うことが基本です。
システムが停止してしまうと顧客やユーザーに大きな影響を及ぼします。データ管理などが重要になります。
・データのバックアップ
データのバックアップを取ることで緊急時でも迅速な復旧が可能になる
・リモートワーク体制の整備
直接顔を合わせなくても事業が継続できるようにリモートワーク体制を整備する
・システム障害時のマニュアル作成
システムに障害が発生しても復旧できるように手順をまとめておく
介護業の例
介護業では、利用者の方の安全の確保が最重要になります。
高齢者や要介護者の安全のための対策が必要です。
全員が安全に避難するための経路や、避難した後の生活の復旧が迅速にできるように策定しましょう。
・避難経路の確保
利用者が安全に避難するための計画が必要
・物資の備蓄
食料や日用品などの必要最低限の物資を備蓄しておき、緊急時でも日常に近い生活を送れるようにする
・緊急連絡先の確保
従業員だけでなく利用者の家族を含めた連絡網の作成により、スムーズにコミュニケーションを取れるようにする
金融・保険業の例
緊急時に金融機関のシステムがダウンしてしまうと、顧客が大きな混乱を引き起こします。
そのため、金融・保険業ではシステムの維持と迅速な顧客対応が重要です。
顧客の資産を保護するための計画が必要になります。
・オンラインシステムの構築
実店舗でなくてもオンラインから取引ができるようにインターネットバンキングやアプリを強化する
・業務の分散
拠点を一つにせず分散させることで事業が完全にストップすることを防ぐ
運輸業の例
運輸業では、物流が滞ることを防ぎ、災害時にも物資を円滑に供給できる体制を構築することが重要になります。
災害が発生した場合でも、迅速かつ安全に物資や人員を輸送することが求められます。
・代替ルートの確保と共有
主要ルートが使用できなくなった場合に代替ルートを確保し、緊急時でも必要な場所に必要な分の物資を輸送できるようにする
・複数の輸送手段を用意
トラックや鉄道、航空など、一つの手段に依存せずにあらゆる手段での輸送を可能にする
BCP対策を策定する際の注意点
BCP対策を策定する際は、いくつかの注意点があります。ここでは、注意点について3つご紹介します。
実行が可能な目標を立てる
まず、実行可能な目標を立てるようにしましょう。
理想に沿った計画を立てても、現実的な内容でなければ実行できずに意味がなくなってしまいます。
現在のリソースや能力を踏まえて、具体的で達成ができる目標を立てるようにしましょう。
不備がないように策定する
BCPを策定する時は不備がないように入念にチェックしましょう。
可能な限りリスクを洗い出して、それらのリスクに対して対応策が網羅しているかの確認が必要です。
また、計画した内容に従業員が対応できるかまで確認して、緊急時にスムーズに実行できるように準備しましょう。
定期的にアップデートする
BCP対策を策定した後は、定期的にアップデートする必要があります。
企業の業務内容の変化に伴い、リスクの内容も変わっていきます。
そのため、BCPの内容を定期的に見直し、最新の状況に合わせた改定が必要です。
BCP対策の雛形・テンプレート
BCP対策を策定していない場合、雛形やテンプレートを利用するのがおすすめです。
公開されているものの中には専門用語や財務診断など、初めてのBCP対策でも安心なサポートがついています。
ここでは、中小企業庁と東京商工会議所が公開している雛形・テンプレートをご紹介します。
中小企業庁
入門、基本、中級、上級の4つのコースがあり、セルフチェックによってレベルに合わせたBCP対策の策定が進められます。
これまでに災害などの緊急事態に遭ったことがない場合、どれくらいの規模でどれくらいの被害が出るのかがイメージしにくいでしょう。
そんな企業でも安心できる事例集も豊富にあります。
東京商工会議所
東京商工会議所が公開している雛形には、BCP策定ガイドというパンフレットもついています。
BCPの重要性を学びながら作成方法や進め方を知ることができます。
カラー図表で見やすく、従業員に周知する際に便利な資料です。
BCP対策でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、BCP対策の業種別の例や注意点などをご紹介しました。
BCP対策は中堅企業を中心にまだまだ広がっていません。
しかし、緊急事態に備えるために企業として行っておきたい計画の一つです。
もし現在、BCP対策でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください。
企業に合ったBCP対策を行い、緊急時でも事業を継続できるように備えましょう。
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