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病院のBCP対策が必要な理由は?策定のポイントやテンプレートをご紹介

BCP BCP対策

病院や医療機関は、災害などの緊急事態が発生した場合も、地域の健康を守る重要な役割を担っています。

しかし、停電や物資の不足、医療従事者の不足など、さまざまなリスクに直面する可能性もあるのです。

このような状況を避けるために必要なのが、BCP対策です。

この記事では、BCP対策が必要な理由や、策定ポイントなどを詳しく解説します。

病院・医療機関のBCP対策は義務化されている?

BCP対策は、災害時に安定した医療を提供するために必要ですが、すべての病院で義務化されているわけではありません。

災害拠点病院に関しては、2017年にBCP対策の策定が義務化されました。

一方で、その他の病院ではBCPの策定は義務化されておらず、「推奨されている」程度にとどまっています。

しかし、近年の自然災害の頻発やパンデミックなどの医療リスクの増加に伴い、策定することが推奨されています。

病院・医療機関にBCP対策が必要な理由

病院や医療機関では、災害や緊急事態が発生しても、患者に必要な医療を提供し続ける必要があります。

また、人命を守るためには、医療器具を稼働させるためのインフラ整備も必要です。

このように、病院や医療機関はさまざまな要素が支え合って成り立っているため、これらを守るためのBCP対策が必要です。

ここでは、BCP対策が必要な理由について詳しくご紹介します。

緊急時でも医療提供を継続させるため

災害や感染症が発生した時でも、病院がいつも通りに医療を提供する必要があります。

BCP(事業継続計画)を準備しておくことで、停電や水道の供給が止まるといった緊急事態でも、医療サービスを続けるための方法を事前に考えておけます。

これにより、患者や緊急時による新たな負傷者が安心して治療を受けられ、地域全体に安心感を与えることができます。

緊急時に増加する需要への対応のため

災害やパンデミックのような緊急時には、多くの患者が一度に医療を必要とする可能性が高まります。

コロナ禍による感染者の急増により、病床が不足したことは記憶に新しいでしょう。

BCP対策では、こういった事態に備えて、病床や医療スタッフ、必要な物資を十分に確保できるように計画を立てておく必要があります。

どんなに忙しい状況でも患者が適切なケアを受けられる体制を整えることが可能です。

インフラの確保のため

医療機関にとって、電気や水道といったインフラがなくなると医療行為全体に大きな影響が出ることが予想されます。

そのため、BCPでは緊急時でも電気や水の供給が保たれるように、非常用の発電機や水の備蓄を整えておくことが重要です。

停電などが発生しても安心して医療を提供し続けることができ、患者の命を守ることにつながります。

医療従事者の確保のため

非常時には、医療従事者も被災したり、感染したりする可能性が十分にあります。

BCPでは、このような状況でも必要な人員を確保できるように、代わりのスタッフを確保したり、医療従事者の安全を守る計画を立てたりする必要があるのです。

また、非常時の対応方法を事前に共有しておくことで、医療従事者全員が冷静に行動し、患者のケアと必要な医療提供ができるようになります。

患者情報の保全のため

患者の大切な医療情報は、災害時やサイバー攻撃によって失われるリスクがあります。

BCP対策では、こういった情報をしっかり守るために、データのバックアップやクラウド上での管理を行い、安全な保管方法を整える必要があります。

また、どんな状況でも必要な情報をすぐに確認でき、治療を継続できるような準備が必要です。

病院・医療機関のBCP対策の策定ポイント

病院や医療機関がBCP対策を策定する際は、大切なポイントがいくつかあります。

患者や関係者の安全確認はもちろん、医療を継続させるための手段の確保なども必要です。

ここでは、BCP対策を策定する際に必ず入れておきたい、策定ポイントについてご紹介します。

職員の安否確認の手順

災害や緊急事態が起きた際にまず大切なのは、関係者の安全を確認することです。

職員全員に迅速に連絡できるように、事前にメールや電話、安否確認のアプリなどのシステムを準備しておくことが重要です。

連絡が取れないことも想定して緊急連絡先も登録しておくことで、スムーズに安否を確認できます。

職員をはじめとする関係者の安全確認を迅速に行う手順を整えておくことで、緊急時に落ち着いて行動できるでしょう。

院内患者状況の確認の手順

職員の安否確認はもちろん、院内にいる患者全員の状況を素早く確認することも非常に重要です。

各病棟や部門ごとに、患者の状態をリストで確認し、重症の方や移動が難しい方を優先して避難させるための計画を立てましょう。

また、すべての患者を安全に移動させるための経路や避難場所を事前に決めておくことで、混乱なく避難することができます。

内部通信手段の確保の手順

あらゆる緊急事態の中でも、特に災害時は、電話やインターネットが使えなくなることが考えられます。

そのため、病院内での連絡手段を複数用意しておくことが重要です。無線機や衛星電話、院内放送など、緊急時でも通信手段を準備しておくと安心でしょう。

また、普段使っていない連絡手段を選ぶ場合は、全員が使いこなせるように、訓練や練習をしておきましょう。

もしもの時でも、関係者の全員がスムーズに連絡が取れるようにしておくことが、患者のケアににつながります。

被害情報等の収集の手順

関係者や患者の状況を確認するとともに、被害の状況を知る必要があります。

病院内では、各部門から被害状況を集める専用の窓口やシステムを用意しておくと、情報がスムーズに集まるでしょう。

また、緊急時は外部と連携して被害を抑えたり、人命や建物・設備を守る必要があります。

そのため、行政や他の医療機関と連携して情報を得られる体制を整えましょう。

病院・医療機関のBCP対策のテンプレート

病院や医療機関のBCP対策は、以下が課題とされています。

 

・BCP対策を策定するためのリソースが足りない

・BCP対策に必要な知識がない

 

阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震の被害を受けて、病院・医療機関のBCP対策は重要性を増していますが、このような課題があるため、現状BCP対策を行っているのは2〜3割程度と言われています。

医療機関は、地域社会において重要度が高く、災害時に需要が高まる性質を持つ業種であるため、BCP対策が求められています。

しかしながら、一般的な医療機関におけるBCP策定率は2割~3割にとどまっているのが現状です。

参考:医療機関におけるBCPの役割や重要度と連絡手段確保の必要性 | 防災・BCP用IP無線システムiMESH

しかし、いつ起こるかわからない緊急事態に備えて、BCP対策を策定する必要があります。そこでおすすめなのが、政府や自治体が公開しているテンプレートを活用することです。

すでに雛形としてできあがっているため、各医療機関に合わせてテンプレートをアレンジすることでBCP対策の資料が完成します。

もちろん、資料作成の前に十分な対策の検討が必要ですが、活用することで少ないリソースの中でもBCP対策を策定する助けとなるでしょう。

▼厚生労働省
医療施設の災害対応のための事業継続計画(BCP)|厚生労働省

▼東京都保健医療局
医療機関における事業継続計画(BCP)の策定について 東京都保健医療局

病院・医療機関のBCP対策でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください

この記事では、病院や医療機関におけるBCP対策の重要性と、策定ポイントについてご紹介しました。

災害や緊急事態が発生した場合でも、患者に継続して医療を提供し続けるためには、BCP対策が必要です。

医療従事者や患者の安全のほか、連絡・通信手段の確保、被害状況の把握など、さまざまな面での対策を整える必要があります。

しかし、リソースや知識不足によってBCP対策の策定を実行できない機関が多いことも現状です。

現在、BCP対策でお困りの方は、ぜひ日本BCP株式会社にご相談ください。緊急時の被害を抑えるためにできることからはじめてみましょう。

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