介護施設のBCP対策とは?義務化によって求められる役割を解説!
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令和3年度の介護報酬改定により、介護施設での業務継続計画(BCP)の策定が義務化されました。
これにより、介護施設は感染症や災害などの緊急事態が起こったときでも、利用者の安全を守りながらサービスを続けるための準備が必要になりました。
高齢者や体の弱い方々が多い介護施設では、迅速かつ落ち着いた対応が重要になります。
この記事では、BCP対策の具体的な内容や、介護施設に求められる役割について詳しくご紹介します。
BCP対策の種類と作成ポイント
介護施設のBCP対策には、新型コロナウイルス感染症BCPと介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)があります。
ここでは、それぞれの対策の作成ポイントを解説します。
新型コロナウイルス感染症BCP
新型コロナウイルスの影響で、介護施設でも業務を続けるための準備(BCP)が必要です。
特に介護施設は、感染リスクの高い高齢者が集まる場所なので、一人が感染してしまうと集団感染になってしまうことも。
感染が広がった時でも、安全にサービスを続けられるように、あらかじめ準備をしておきましょう。
施設・事業所内を含めた関係者との情報共有と役割分担、判断ができる体制の構築
新型コロナウイルスに対応するためには、関係者同士で情報共有することが大切です。
感染が疑われる時や実際に感染が発生した時に、誰がどんな役割を持って対応するのかを事前に決めておくと、スムーズに対応できます。
責任者をあらかじめ決め、連絡が必要な人の連絡先を整理しておくと良いでしょう。
普段から情報共有の流れを整えておくことで、緊急時に慌てずに対応することができます。
感染(疑い)者が発生した場合の対応
利用者にとって、介護施設は自宅と言えます。
そのため、感染者が出た場合でも、サービスを続けることが重要です。
感染者が出た時にサービスを停止させずに対応する方法を考えておきましょう。
対応の手順を決めておけば、実際に感染者が出た時に落ち着いて行動できるようになります。
職員確保
感染症が広がると、職員が感染することで人手が足りなくなることがあります。
そのため、職員の一部が休んでも、他の職員でサービスを継続させる必要があります。
しかし、職員が足りない場合は難しいこともあるでしょう。このような状況に備えて、施設内や外部で人材を確保する方法を事前に考えておくことが重要です。
また、必要に応じて自治体や関係団体に早めに支援をお願いすることで、感染拡大を防ぎながら、サービスの質を保つことができます。
業務の優先順位の整理
職員が少なくなってもサービスを継続できるようにするためには、どの業務を優先するかをあらかじめ決めておくことが重要です。
まずは、感染を防ぐための対策を最優先にしましょう。
次に重要な業務を順番にこなせるように、職員の出勤状況に合わせて業務の優先順位を整理します。
これにより、少ない人数でも利用者へのサービスが途切れずに継続できます。
計画を実行できるよう普段からの周知・研修、訓練
BCP(事業継続計画)は作っただけでは効果を発揮しません。
実際に危機が起きた時に素早く行動できるように、普段から関係者に計画を伝えて研修や訓練を行うことが大切です。
シミュレーションをすることで、計画の中で改善が必要な部分を見つけ、対策を講じることができます。
また、最新の情報に基づいて定期的に計画を見直すことで、より効果的なBCPを作り上げることが可能です。
介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)
介護施設では、災害が発生しても利用者の安全を守りながらサービスを続ける必要があります。
業務継続計画(BCP)は、非常時にも落ち着いて対応できるように事前に準備することを目的としています。
正確な情報集約と判断ができる体制を構築
災害が発生した時に素早く正しい対応をするために、普段から情報を集めて共有する仕組みを作ることが重要です。
まず、誰がどの仕事を担当するかをあらかじめ決めておきましょう。
さらに、関係者全員の連絡先をまとめて情報の伝え方をはっきりさせておくと、いざという時にスムーズに動けます。
災害が起きても慌てずに落ち着いた正しい判断ができ、施設全体で適切な対応ができるようになります。
自然災害対策を「事前の対策」と「被災時の対策」に分けて、同時にその対策を準備
自然災害に備えるには、あらかじめ対策を準備しておくことが必要です。
事前の対策としては、施設の機器や設備を固定したり、インフラが止まった場合の準備をしておきます。
そして、被災時には、まず利用者や職員の安全を確保し、その後に建物や設備の状態を確認しましょう。
事業復旧のための手順も事前に決めておくことで、災害が起きた後でも、落ち着いて行動し、早く事業を再開することができます。
業務の優先順位の整理
災害が起こると、職員や設備が足りない中で業務を続けなければいけない状況になります。
そのため、新型コロナウイルス感染症BCPと同様に、どの業務を優先するかを前もって整理しておくことが大事です。
特に、重要な業務を止めないための対策が必要です。
優先順位を決めておくことで、緊急時にも慌てずにスムーズに対応できるようになります。
計画を実行できるよう普段からの周知・研修、訓練
新型コロナウイルス感染症BCPと同様に、ただ作るだけでは役立ちません。
そのため、実際に活用できるようにするためには、関係者に共有して普段から研修や訓練をしておくことが必要です。
シミュレーションを行って必要に応じて改善をしましょう。
また、計画を定期的に見直して常に最新の情報を元にした対策になるように作成しましょう。
BCP対策において介護施設に求められる役割は?
新型コロナウイルス感染症BCPと介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)には、共通して介護施設に求める役割が3つあります。ここでは、その役割について詳しくご紹介します。
サービスの継続
介護施設では、利用者の健康や命を守るために、コロナ禍や災害発生などのどんな状況でもできるだけサービスを継続しなければなりません。
そのため、事前にBCP対策を策定して準備をしておくことで、入所施設や訪問サービス、通所サービスなどのさまざまなサービスを継続させることができます。
もしも業務を縮小したり、施設を閉じなければならなくなったりした場合でも、利用者にできるだけ影響が少ないように計画を立てておくことが必要です。
利用者の安全確保
介護施設を利用する方々は、主に高齢者です。
そのため、感染症や災害が起こった時に、重篤な影響を受けやすいとされています。
利用者の安全を守ることが最も重要な役割です。感染を防ぐための対策や、災害時の避難経路をあらかじめ準備しておくことで、緊急時にも安心して対応できます。
利用者が安心して過ごせるように、常に安全対策を万全に整えておくことが必要です。
職員の安全確保
利用者の安全確保はもちろんですが、職員の安全も重要です。
感染症や災害が発生すると、職員は長時間働いたり、精神的な負担が大きくなったりすることがあります。
そのため、職員が感染しないような対策を取ることや、過度に働かないようにするための対策が必要です。
また、職員の心のケアも重要で、職員が安心して働けるような環境を作ることが、施設としての大切な責任になります。
介護施設でのBCP訓練は年に何回実施すべき?
BCP(業務継続計画)の訓練は、年に2回以上の訓練や研修を行うことが必要です。
通所や訪問サービスでは、1年に1回以上の訓練が推奨されています。
定期的に訓練を行うことで、職員同士の連携も強まり、非常時でも安心して行動できるようになるため、この回数を目安に実施するようにしましょう。
介護施設のBCP対策でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、介護施設のBCP対策についてご紹介しました。
介護施設のBCP対策には新型コロナウイルスに関する計画と、業務継続のための計画の2つがあります。
それぞれ作成するポイントは異なりますが、求められる役割は共通しており、利用者や職員の安全確保が重要です。
もし現在、BCP対策にお困りの介護施設の担当者様は、ぜひ日本BCP株式会社にご相談ください。
事業や状況に合ったBCP対策を策定し、緊急時の備えを行いましょう。
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