企業の地震保険の種類は?加入率・家庭用との違いも解説
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地震はいつ発生するかわからないものの、もしもに備えて地震保険に加入している企業は実は多くありません。
企業の地震保険はさまざまなものが対象となっているため、加入していれば地震発生時でも十分な補償を受けることができて企業の事業継続につながります。
この記事では、企業の地震保険の種類や対象となるもの、注意点などについて詳しくご紹介します。
企業の地震保険への加入率
地震保険への関心は高まっているものの、実際に加入している企業は多くありません。
日本損害保険協会が2023年に行った調査では、中小企業の経営者や損害保険の担当者のうち、約85%が地震保険について「詳しく知っている」もしくは「聞いたことがある」と回答しています。
多くの企業が地震保険の存在自体は知っていることがわかります。
しかし、実際に地震保険に加入している企業は約37%にとどまっています。
火災保険の加入率が約70%であることを考えると、地震保険の加入率は半分程度にとどまっている状況です。
企業が地震保険に加入しない理由として最も多いのは「地震が起こる可能性は低いと考えている」という意見です。
これに加えて「保険料の支払いが負担になる」「地震による損失がどれくらいになるのかわからない」という声も。
地震はいつどこで起きるかわかりません。企業が地震保険に加入することは、事業継続の安心材料にもなります。
今後、企業が自社のリスクを正しく理解し、必要な備えを進めていくことが求められています。
参考:中小企業を取り巻くリスク意識調査2023 | 中小企業に必要な保険 | 日本損害保険協会
企業の地震保険とは?
企業の地震保険は、地震による建物や設備の損害を補償するための保険です。
家庭向けの地震保険とは異なり、企業活動に必要な商品や機械設備、什器なども補償の対象になります。
企業の地震保険はいくつかあるため、自社に必要な補償がある保険に加入することが大切です。
企業が加入できる地震保険
地震は突然発生し、企業の建物や設備に大きな被害をもたらすことがあります。
事業の継続が難しくなることも少なくありません。
このようなリスクに備えるために、企業向けの地震保険が用意されています。
家庭用の地震保険とは違い、企業のニーズに合わせた補償内容が選べるのが特徴です。
建物だけでなく、商品や設備など幅広くカバーできるプランもあります。
ここでは、企業が加入できる地震保険を2つご紹介します。
地震危険補償特約(地震拡張担保特約)
企業が所有する建物や設備には、通常の火災保険だけでは地震による損害は補償されません。
法人が管理する物件について地震による損害をカバーするには、「地震危険補償特約(地震拡張担保特約)」を付帯する必要があります。
これは法人向けの火災保険に追加する形で加入できる特約です。
この特約を付けることで、地震が原因の火災、建物の倒壊や損壊、さらには津波などによる水災などが補償されるようになります。
特に、地震による二次被害は想定外の損害をもたらすことが多いため、企業にとって非常に重要な補償となります。
対象となるもの
地震危険補償特約で補償される物件は、建築基準法で定められた耐震基準を満たしている建物や設備が対象となります。
具体的には昭和46年以降に建設された建物や、それに付帯する屋外設備や装置が該当します。
また、建物内に収容される設備や什器も補償対象となりますが、製品や商品、半製品、仕掛かり品などの在庫類は補償対象外となる場合があります。
これは、地震による損害のリスクが高いため、別途対応が必要とされるからです。
対象となるものをあらかじめ確認するようにしましょう。
注意点
地震危険補償特約には、補償が適用されないケースもあります。
たとえば、地震による損害であっても契約内容に含まれない損害や、ご契約者が故意に引き起こした損害などは補償の対象外です。
さらに、重大な過失や法令違反があった場合も保険金が支払われません。
企業が安心して補償を受けられるよう、契約内容をしっかりと確認し、万が一の際にトラブルにならないよう注意する必要があります。
地震保険はリスク対策として非常に有効ですが、その内容を十分に理解しておくことが重要です。
BCP地震補償保険
企業向けの地震保険には、もう一つ「BCP地震補償保険」という保険があります。
この保険は、地震による損害が実際に発生していなくても、一定の条件を満たせば保険金が支払われる仕組みです。
具体的には、契約時に指定した震度観測点で一定の震度以上の地震が観測された場合、企業の休業損失を補填する形で保険金が支払われます。
これにより、地震発生直後から資金の仮払いが可能となり、事業の継続がしやすくなります。
また、自社に直接被害がなくても、取引先が被災して営業が停止した場合など、間接的な損失も補償の対象です。
このように、BCP地震補償保険は企業の事業継続を支える重要なものです。
災害時の資金繰りをスムーズにするため、多くの企業で導入が進んでいます。
対象となるもの
BCP地震補償保険の対象となるのは、自社施設や設備の損壊による営業停止だけでなく、取引先の被災やインフラの停止など、多岐にわたります。
たとえば、電気やガス、水道などのライフラインが止まった場合や、交通遮断によって物流がストップした場合なども補償の対象です。
さらに、人件費の負担や営業継続に必要な費用も含まれています。
注意点
BCP地震補償保険にも補償対象外となるものがあります。
たとえば、動植物や現金、有価証券、貴金属などは補償の対象外です。また、生鮮食品や冷蔵物、自動車なども対象になりません。
加入前に補償されるものとされないものをしっかり確認し、必要に応じて別途保険を検討することが重要です。
BCP地震補償保険は多くの面で企業を守りますが、その補償内容に限界があることを理解しておくことが大切です。
家庭用の地震保険との違い
地震保険は、家庭向けと法人向けで仕組みや補償内容が異なります。
まず、家庭用の地震保険は、国と損害保険会社が共同で運営しているのが特徴です。
そのため、日本全国どの保険会社で加入しても、保険料や補償内容は同じになります。
地震という大規模災害に対応するため、公平性を保つ仕組みになっているのです。
一方で、法人向けの地震保険は損害保険会社が独自に商品を作っています。
そのため、保険会社ごとに補償内容や保険料が異なります。
自社に合ったプランを選ぶ自由度がある反面、内容をしっかり比較して選ぶ必要があります。
また、家庭用の地震保険では、補償額が火災保険の50%までと決められています。
例えば、火災保険で1,000万円の補償がある場合、地震保険では最大500万円が支払われる仕組みです。
しかし、法人向けの地震保険ではこのような制限がない場合が多く、建物や設備、商品など100%の補償が受けられるケースも。
企業活動を守るため、より手厚い補償が用意されているのです。
ただし、法人向けの地震保険はすべての企業が加入できるわけではありません。
事務所や工場がある地域や、求める補償額によっては、保険会社が引き受けを見送ることもあります。
企業の地震保険でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、企業の地震保険の内容や対象となるものなどについてご紹介しました。
加入している企業はまだまだ少ないですが、地震はいつ発生するかわかりません。
もしものことを考えて、ぜひ加入を検討してみてください。
もし現在、地震保険についてお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください。
不明点や気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
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