企業の災害対策が必要な理由は?マニュアルの作成ポイントも解説
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近年、地震や台風などの災害が頻繁に発生しています。
2024年のお盆に『南海トラフ地震臨時情報』が初めて発表されたように、いつ災害が起こってもおかしくない状況が続いているため、企業としても不安を感じるでしょう。
企業としては災害が発生した時に労働者の安全を守り、事業を継続させるための対策が必要です。
この記事では、企業の災害対策が必要な理由やマニュアルの作成ポイントなどについてご紹介します。
企業に災害対策が必要な理由
どの企業も、自然災害などの予期せぬ事態に対応する必要があります。
労働者の命を守ることはもちろん、企業が事業を継続させるための社会的責を果たす努力が必要です。
ここでは、企業に災害対策が必要な理由について詳しく深掘りして解説します。
労働者の安全への配慮
最も必要な理由は、労働者の安全への配慮です。
労働契約法第5条では、以下の内容が定められています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
このように企業は法的に労働者の安全を守る義務があります。
いつ災害が発生しても守れるように、避難訓練やマニュアルを作成して労働者の命を守るための対策を行いましょう。
事業を継続させるため
災害が発生すると、事業の継続が難しくなる場合があります。
しかし、業種にもよりますが事業が停止するとほかの企業や人々に影響を及ぼす可能性があります。
例えば運輸業であれば、災害によって通常の道路の使用ができなくなると、被災地に救援物資を届けられなくなり、被災者への援助が遅れてしまう、などです。
緊急時にどのように対策するかを明確にしておくことで、慌てずに落ち着いて行動することができます。
緊急時でも事業を完全にストップせずに継続できることは、顧客への信頼にもつながり、経済的な損失を抑えることもできるのです。
帰宅困難者を減らす
大きな災害が発生すると公共交通機関がストップして労働者が自宅に帰宅できなくなることも。
その場合、企業は帰宅困難者を減らすために社内に備蓄品や避難スペースを作って労働者の生活を守る必要があります。
自宅に帰宅できなくても最低限の生活が送れることは、労働者にとっては大きな安心感となり、企業としても社会的責任を果たすことにつながります。
周辺地域の被害軽減と早期復旧
企業が災害対策を行うことは、実は周辺地域への貢献にもつながるのです。
企業が地域との連携をとって避難訓練や物資供給のルートを整えることで、企業が支援の拠点となります。
災害が発生しても企業が迅速に復旧を行うための計画や対策をしておくことで、周辺地域の早い復旧につながり、事業の再開も早まるでしょう。
企業内の災害対策はもちろんですが、リソースがある場合は周辺地域との連携も視野に入れた計画作りを行いましょう。
企業に必要な災害対策
災害が発生した場合、企業は労働者の命を守ったり事業を継続させるための努力が必要です。
企業に必要な災害対策として、防災対策とBCP対策の2つが挙げられます。
それぞれ目的が異なるため、両者を理解して対策を進めていくことが重要です。
ここでは、2つの災害対策について詳しく解説します。
防災対策
防災対策は、災害による被害を最小限に抑えることが目的の対策です。
企業が行うべき防災対策の例は以下のとおりです。
・避難経路の確保
・防災グッズの準備
・避難訓練の実施
・労働者への周知
このような対策を行うことで、災害が発生しても落ち着いて行動でき、大きな被害を受けるリスクを小さくすることが期待できます。
BCP対策
BCP対策は、災害が発生した後に事業を早く再開させるために行う対策です。
災害などの緊急事態が発生すると、最悪の場合、事業が完全にストップして復旧までに長い時間を要することがあります。
この状態になってしまうと、企業の経済的損失が非常に大きくなるため、少しでも早い復旧や、事業を完全にストップさせないための対策が必要です。
BCP対策では、例えば、リモートワークの体制を構築して出社しなくても事業を継続できるようにしたり、在庫を複数箇所に分散して保管することで全ての在庫に被害が被ることを防いだりします。
企業が災害対策を策定した後に行うこと
災害対策を策定しただけでは、緊急時に完全に対応することができません。
これが実行できるように、社員全員に周知しましょう。
全員が対策の内容を把握・理解していないと、災害時に混乱が起きてしまい、対応ができなくなります。
対策に関する研修を行ったり、実際に発生したことを想定した避難訓練を行ったりするのが良いでしょう。
また、対策をマニュアル化して公開しておくことで、いつでもチェックできる環境にするのも一つの手です。
企業の災害対策の取り組み事例
では実際に災害対策を行っている企業の取り組み事例を見てみましょう。
災害対策のためのヒントにしてみてください。
森ビル株式会社
森ビル株式会社では、災害対策に関するさまざまな取り組みを行っています。
例えば、緊急事態が発生した際、1,400名の社員全員が震災対策チームに切り替わることです。
事業エリアから2.5km以内に管理社宅を配置して、担当エリアの復旧活動に取り組みます。
災害に備えて定期的に特別訓練を実施して、迅速な対応力の強化を目指しています。
株式会社マイヤ
株式会社マイヤは、東日本大震災による津波で6店舗を失いました。
しかし、震災以前から災害に備えて危機管理体制の構築や社員教育、年に数回の火災防災訓練を行うなどの対策を行っていたため、震災での犠牲者はいませんでした。
このように、災害対策を行うことで人命を守ることにつながるのです。
企業の災害対策マニュアルの作成ポイント
防災対策やBCP対策を策定する際は、マニュアルまで作成しましょう。
マニュアルが明確で誰が見てもわかりやすい内容になっていることで、緊急時のリスクを大幅に減らすことができます。
ここでは、マニュアルを作成する際に押さえておきたいポイントについてご紹介します。
役割分担を明確にする
災害が発生した時に誰が何を対応するかについての役割分担を明確にしておきましょう。
役割分担が明確でないと、緊急時に「誰が何から対応していくか」から考えなければならないため、その分、対応が遅れます。
部署や個人単位で対応する内容を決めておき、具体的な責任を割り当てておきましょう。
さらに、緊急時に担当者が不在の場合を想定して、代替者を決めて、リスクを小さくしておくことがおすすめです。
避難経路や避難場所の決定
企業の建物内で災害が発生した場合を想定して、全員が安全に避難するための避難経路や避難場所を決めておきましょう。
建物内のどの場所に、どのルートを使って避難するのかを詳細に決めておくことで、素早く避難することができます。
緊急連絡網を作成する
災害が発生した際でも社員や外部の関係者と迅速に連絡を取れるように、緊急連絡網を作成しておきましょう。
全員の連絡先の記載はもちろん、どの順番で誰が誰に連絡を取るかを明確にしておくことが重要です。
電話が繋がらなかった時のことを想定して、メールやチャットツールなどの複数の連絡手段を用意しておくと良いでしょう。
企業の災害対策でお悩みの方はBCP株式会社にご相談ください
この記事では、企業の災害対策についてご紹介しました。
企業には労働者を守る義務があり、命の安全はもちろん、帰宅困難者を減らすことや被害を軽減させるための努力が必要です。
また、計画を策定した後は関係者への周知をお忘れなく。
もし現在、企業の災害対策についてお悩みの方は、ぜひBCP株式会社にご相談ください。
もしもの時のための対策を一緒に考えていきましょう。
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