南海トラフ地震・首都直下地震に備えて企業が行うべき対策は?被害想定・影響をもとに解説
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2024年8月に、南海トラフ地震の想定震源域内である宮崎県の日向灘で大きな地震が発生したことで、大地震に対する危機感を覚えた方が多いでしょう。
大地震はいつ発生するかわからないからこそ、すぐに対策を講じて備える必要があります。
この記事では、南海トラフ地震や首都直下地震に備えて企業が行うべき対策についてご紹介します。
大地震の被害想定
大地震が起きた場合、広い範囲で大きな被害が発生すると考えられています。
南海トラフ地震では、激しい揺れや高い津波による被害が予想され、国内全体が大きな被害を受けると考えられています。
また、首都直下地震では、都市部特有のリスクとして建物の倒壊や火災の危険が高まります。
ここでは、それぞれの被害想定についてご紹介します。
南海トラフ地震
南海トラフ地震は、太平洋沿岸に大きな被害をもたらすと想定されています。
震度7の激しい揺れが広い範囲で発生し、沿岸部には10メートルを超える大津波が押し寄せる可能性も。
・死者数:32万人超
・経済的損失:220兆円超
2024年8月には、南海トラフ地震の想定震源域内である宮崎県の日向灘で最大震度6弱の地震を観測したことから、「南海トラフ地震臨時情報」として『巨大地震注意』が発表されました。
想定震源域が非常に広く、どの地域の企業も備えておく必要があります。
首都直下地震
首都直下地震では、東京など首都圏に大きな被害が予想されています。
・死者数:約2万3,000人
・経済的損失:約95兆円
火災の被害が深刻で、亡くなる方の7割にあたる1万6,000人が火災によるものと予想されています。
また、地震による建物の倒壊や交通の混乱で、避難や救助が難しくなり、都市の機能が長期間にわたって影響を受ける可能性もあります。
特に首都圏に拠点をおく企業は、首都直下地震に対する備えが必要です。
大地震が企業に及ぼす影響
大地震が起きると、企業活動にもさまざまな影響が出る可能性があります。
建物の倒壊による設備の被害や、従業員のケガなど、事業の継続が難しくなることも考えられます。
ここでは、企業に想定される影響についてご紹介します。
建物の倒壊
大地震が発生すると、企業のビルや工場といった建物が倒壊する危険性が高まります。
古い建物や耐震性が不十分なものは、倒壊の可能性が高く、大きな影響を及ぼします。
従業員の安全が脅かされるだけでなく、会社の大切な資産も失い、事業を継続できなくなることも。
建物の復旧には多くの時間と費用がかかり、事業の再開が難しくなることも少なくありません。
そこで企業としては、日頃から建物の耐震補強や防災対策を検討し、安心して働ける環境を整えておくことが重要です。
人的被害
地震によるケガや事故は、企業にとって大きな打撃となります。
従業員がケガや死亡をした場合、他の社員の心身に影響が出るだけでなく、事業の運営自体が難しくなってしまいます。
人的被害は企業の事業継続や再開の遅れに直接的な影響を及ぼすのです。
そのため、企業では、防災訓練や避難経路の確認など、少しでも人的被害を減らすための対策を行う必要があります。
事業停止・倒産
先にご紹介したように、建物の倒壊や人的被害が発生すると、最悪の場合、事業停止や倒産に追い込まれる可能性があります。
実際に東日本大震災の発生後、2022年までの約11年の間に2,085の企業が東日本大震災に関連する原因で倒産してしまいました。
東日本大震災が発生した2011年3月から2022年2月までの11年のうち、震災被害が倒産の直接または間接的な要因となった「東日本大震災関連倒産」は累計2085件に上った。負債総額は累計1兆7189億円となった
引用元:【震災から11年】「東日本大震災関連倒産」動向調査(2022年) | 株式会社 帝国データバンク[TDB]
大地震が発生した直後だけでなく、その後、十数年以上にわたり事業ができなくなるリスクが高まるのです。
南海トラフ地震・首都直下地震に備えて企業が行うべき対策
南海トラフ地震や首都直下地震に備えるために、企業には行うべき対策がいくつかあります。
ここからは、企業が行うべき対策について代表的なものを6つご紹介します。
BCP対策の策定
南海トラフ地震や首都直下地震に備えるため、企業は事業継続計画(BCP)を策定しておくことが重要です。
BCPとは、災害が起こったときに、業務を迅速に再開するための計画です。
まず、地震による影響を考えて、優先的に再開すべき業務を決めます。
また、代替拠点や資金の準備、緊急時の連絡方法など、具体的な対応策を事前に決めておくことで、従業員が安心して動ける環境を整えます。
さらに、BCP対策は定期的に見直して、最新の情報や情勢に合わせてアップデートすることも忘れずに行いましょう。
企業防災マニュアルの作成
地震への備えとして、防災マニュアルを作成しておくと安心です。
このマニュアルには、地震が発生したときに従業員が安全に避難できるよう、緊急時の行動手順をわかりやすくまとめます。
緊急連絡網の整備や避難経路の確認、非常時の役割分担など、事前に決めておくと良いでしょう。
また、いざというときに備えて、心構えや応急処置の方法も載せておくと役立ちます。
作成したマニュアルは関係者全員で共有し、定期的に内容を確認しましょう。
津波対策と避難計画
大地震発生後は、津波が発生する可能性があるため、津波対策と避難計画を事前に立てておくことが大切です。
まず、建物が津波の危険区域にある場合は、高台への避難ルートを確認し、関係者全員と共有しましょう。
避難時に持ち出す防災グッズや、連絡網の整備も計画に含めると安心です。
また、複数の避難経路を考えておくことで、どのルートが使えなくても安全に避難できるよう備えられます。
事前にしっかりと計画しておくことで、緊急時もスムーズに避難できる環境を作りましょう。
防災訓練
作成したBCP対策や企業防災マニュアルをもとに、定期的に防災訓練を行いましょう。
訓練では、避難経路の確認や緊急時の連絡方法など、実際の状況を想定して対応力を高めます。
特に、一斉避難の動線確認や、ケガをした場合の応急処置など、発生しそうな状況を予想して訓練に取り入れると効果的です。
また、訓練を重ねることでコミュニケーションが深まるため、いざというときの連携がスムーズになります。
災害はいつ起こるか分からないため、日頃から訓練をして備えておくことが安心につながります。
防災備蓄品の確保
企業の建物が耐震性が高い場合、帰宅困難な従業員や、周辺住民の一時的な避難場所になることが考えられます。
その場合、少しでも普段に近い生活を送るために、防災備蓄品をしっかりと用意しておくことが大切です。
食料や飲料水、医薬品、簡易トイレ、毛布、懐中電灯など、数日間安心して過ごせるように準備しておきましょう。
また、電気や通信が使えなくなることを想定し、ラジオや携帯電話の充電器なども備蓄しておくと良いでしょう。
こうした備蓄品の準備により、被災者の精神的なサポートにつながります。
建物の耐震化・オフィス家具の固定
企業の建物やオフィス内の家具を耐震化することで、地震の被害を少なくすることができます。
まず、建物の耐震補強を行い、揺れに強い環境を整えることで、従業員の安全を守ります。
また、オフィス内の棚やキャビネット、コピー機などは、倒れたり移動したりしないように固定具を使ってしっかりと固定しましょう。
こうした準備をしておくと、地震が起きたときのケガのリスクを減らし、避難経路の確保にもつながります。
オフィス環境を整えることで、安心して働ける企業を目指しましょう。
大地震の企業対策でお悩みの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、南海トラフ地震をはじめとする大地震に対して、企業が行うべき対策についてご紹介しました。
大地震はいつ起こるかわからないものですが、南海トラフ地震は『巨大地震注意』が発令されるほどになり、現実味をおびてきたことで対策を強化した企業も多いでしょう。
もし現在、大地震に対する企業対策でお悩みの方は、日本BCP株式会社にご相談ください。
企業の状況に合った対策を行い、大地震による影響を少しでも抑えられるように備えましょう。
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