非常用発電機の点検は義務付けられている?各法律の定め・忘れたらどうなるかを解説
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非常用発電機は、さまざまな法律によって点検が義務付けられています。
建物や設備の安全を守るために必要なので、定期的に点検を受けるようにしましょう。
この記事では、法律で定められている点検内容や頻度について解説します。
非常用発電機の点検義務は各法律で定められている
非常用発電機の点検は、安全を守るために、さまざまな法律で義務付けられています。
電気事業法や建築基準法、消防法などで、点検の内容や頻度が定められており、それぞれの法律に従って点検を行う必要があります。
災害や緊急時に非常用発電機をしっかり作動させることが目的です。
電気事業法による点検
電気事業法は、電気が安全に使えるようにするための法律です。
この法律では、発電機や電気設備が問題なく動くよう、定期的な点検が必要とされています。
特に電力を供給する会社や、電気設備の管理をしている機関や施設が対象で、発電機がいつでも安全に使えるようにするために、点検を行うことが求められています。
点検内容 | 【月次点検】 発電機や励磁装置の見た目に異常がないかを確認する。 【年次点検】起動装置と停止装置の動作を確認する。 自動起動と自動停止装置に異常がないかを確認する。 内部蓄電池の漏れや部品の緩みを確認する。 |
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点検頻度 | 【月次点検】 月に1回 【年次点検】 年に1回 |
点検内容・項目
電気事業法に基づく非常用発電機の点検には、月に1回の月次点検と、年に1回の年次点検があります。
月次点検では、発電機や周辺の装置に見た目の異常がないかを確認します。
年次点検では、発電機が正常に動くかどうかをしっかりと確認し、自動での起動や停止が正しく作動するか、蓄電池の漏れがないか、また部品がしっかり接続されているかを点検します。
電気事業法では、このような点検により、緊急時に正常に発電機が使える状態を保ちます。
点検頻度
非常用発電機は、月に1回の月次点検と、年に1回の年次点検がおすすめされています。
定期的な点検を行い、万が一の時にも安心して利用できるように備えましょう。
消防法による点検
消防法は、火事や災害から人々や財産を守るための法律です。
非常用発電機もこの法律に基づいて点検が必要で、災害時に正常に動くことが求められています。
火災時の避難や緊急時の電力供給をスムーズに行うため、発電機や関連設備の点検やメンテナンスが義務付けられています。
点検内容 | 【予防的保全策】 発電機の主要部品や冷却水・潤滑油の状態を確認する。必要に応じて部品を交換する。 【負荷試験】 発電機に負荷をかけ、電圧・電流・周波数などを測定する。 |
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点検頻度 | 【機器点検】 6ヶ月に1回 【総合点検】 年に1回 【内部観察】 1年に1回 |
点検内容・項目
消防法に基づく非常用発電機の点検では、予防のためのチェックや部品交換が重要です。
発電機の中でも主要な部品や冷却水、潤滑油の状態を確認して、必要な場合は部品の交換を行います。
また、発電機の動作や内部の状況もチェックすることで、常に良好な状態を保つことができます。
さらに、負荷試験といって発電機が負荷をかけられた際にも問題なく作動するかどうかをチェックする点検も行われ、災害時に確実に稼働するように備えます。
点検頻度
消防法に基づく非常用発電機の点検は、6カ月に1回の機器点検と、年に1回の総合点検が行われます。
機器点検では、発電機が正常に作動するかどうかを無負荷の状態で確認し、必要に応じて調整します。
総合点検では、発電機に実際の負荷をかけて、実際の災害時にも問題なく動作することを確認します。
また、1年に1回、内部観察や負荷試験も実施して、長い目でみた安心を確保します。
建築基準法による点検
建築基準法は、建物の安全性や長持ちさせるために作られた法律です。
この法律には、非常用発電機や照明なども含まれていて、建物の中で使われる電気設備が正常に動くよう、定期的な点検が必要です。
建物の所有者や管理者に対して、安全な設備を維持する責任があり、非常時に備えてしっかり管理しておくことが求められています。
点検内容 | 【非常用照明】 正常に点灯するかを確認する。 【蓄電池】 触媒栓の有効期限や液漏れの有無を確認する。 |
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点検頻度 | 6ヶ月~1年に1回 |
点検内容・項目
建築基準法では、建物の安全を守るために非常用発電機の点検を行います。
非常用照明が正常に点灯するか、発電機の蓄電池に液漏れがないかなどを確認します。
点検を行うことで万が一の災害時にも安全に避難ができるように備えます。
また、発電機や蓄電池の状態を確認し、報告書に記録することが義務付けられており、建物の安全を常に維持することが求められています。
点検頻度
建築基準法に基づく非常用発電機の点検は、6ヶ月から1年に1回程度行われます。
定期的に点検を行うことで、非常用発電機が常に万全な状態を保ち、緊急時にも問題なく作動することを確認します。
建物の安全はもちろん、発電機や照明設備もきちんと維持されていることが重要です。
非常用発電機の点検にかかる費用
非常用発電機の点検費用は、点検の内容や発電機の大きさ、設置されている場所によって変わります。
一般的に、負荷試験を行う場合、20kWA以下の発電機だと15〜20万円、230kWA以上になると30〜50万円くらいが一般的な費用とされています。
発電機の容量が大きいほど費用も高くなるので、その点を覚えておくと良いでしょう。
また、負荷試験に使う機器の運搬費や現地調査の費用がかかる場合もあり、さらに交通費や現場管理費が追加されることもあります。
詳しい点検費用は、業者に見積もりを依頼するのが良いでしょう。
日本BCP株式会社でも、非常用発電機の点検に関するご質問を受け付けしています。
ぜひ、こちらからお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
非常用発電機の点検に必要な資格
法律 | 必要な資格 |
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電気事業法 | 電気主任技術者 |
消防法 | 一級建築士, 二級建築士, 建築設備検査員, 防火設備検査員 |
建築基準法 | 消防設備士, 消防設備点検資格者 |
非常用発電機の点検には、点検の内容や対象となる法律に応じて、資格を持った技術者が作業を行う必要があります。
電気事業法に基づく点検では電気主任技術者が担当します。
建築基準法における点検では一級建築士や二級建築士、さらに建築設備検査員や防火設備検査員の資格が必要です。
消防点検においては、報告書提出には消防設備士または消防設備点検資格者の資格を持った者が行います。
点検を忘れたらどうなるのか
非常用発電機の点検を忘れてしまうと、さまざまな問題が起こる可能性があります。
まず、電気事業法では、発電機が安全に使えない状態になった場合、オーナーに技術基準への適合命令や使用制限命令が出されることがあります。
もしこの命令が発せられると、ビルや施設の電源が使えなくなり、施設を閉鎖しなければならないことも。
商業施設や病院のような大きな施設では、電源が使えないことで多くの人に影響を与えるため、損害賠償を請求される恐れがあります。
また、こうしたトラブルによりオーナーの信用も失われてしまう可能性があります。
消防法では、点検を怠ると30万円以下の罰金や、場合によっては拘留されることもあります。
さらに、法律に違反すると、その施設が公表されてしまい、映画館や飲食店、ホテルなど、多くの人が利用する建物が違反施設としてリストに載ってしまうこともあります。
そうなると、施設の信頼を回復するのはとても難しく、最悪の場合、事業を続けられなくなることも考えられます。
建築基準法では、点検を行わなかったり、正確な報告をしなかったりした場合に、100万円以下の罰金が科されることがあります。
点検を忘れてしまうと、施設の管理者やオーナーだけでなく、点検を担当する人も処罰の対象に。
罰金は高額で、施設の安全管理ができていないことが大きな問題になります。
こうしたリスクを避けるためにも、非常用発電機の点検は定期的にしっかり行うことが非常に重要です。
非常用発電機でお困りの方は日本BCP株式会社にご相談ください
この記事では、非常用発電機の点検義務や点検の内容、頻度などについて詳しく解説しました。
さまざまな法律で定められているため、少々複雑ですが、安全を守るために忘れずに行うようにしましょう。
もし現在、非常用発電機に関してお困りの方は、日本BCP株式会社にご相談ください。建物や設備の安全を守りましょう。
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